ランナー

2020年02月15日
りいさ( 19歳 / 学生 )

車のライトの白いのと赤いのがそれぞれ長い長い列になって続く

前からおっきなバックを持った高校生たちが56人で自転車漕ぎながら、大きな笑い声と共に颯爽と駆け抜けて行く

かと思えば、もう仕事は定年退職したのだろうかと思うようなおじさんが私よりもものすごく速いスピードで走り去って行く

ものの数分で私の目には見えないくらいに小さくなってそこの緩やかなカーブで消える

いかした兄ちゃん達は自転車にかったるそうに乗りながら過ぎ去って行く

前の方からモノレールがやってきて私の頭上を通り過ぎる

左耳にだけ付けたワイヤレスイヤホンからは最近私のハマりの洋楽歌手の歌がウクレレとともに軽やかに流れる

時刻は18時過ぎ

日は落ちてしまって、朝方なんて多くのランナーが行き交うこの道も人通りはあまり多くない

とにかく次に見えるはずのあの建物までは走ろう

走り始めの時、今日は5キロなんて走れっこないって思った

どうしてもむりだと思うそこまでは走って、そのあとはのんびり歩くこう

今日はそう決めてた

走り初めは緩やかな登り坂

苦しくなって息が上がる

足の筋肉が突然の事態に悲鳴を上げる

とにかく上がりきったあそこまでは行こう

いざ登りきって、その目的地まで着くと、足は自然と前に駆ける

まだ行けるとこまで行こう、とりあえずはあそこまで

こんなことを繰り返したらおそらくここが中間地点だろうと思われるところまでやってきた

やっと来たという感覚が一番しっくりくる

やっと半分だ

本当はもう歩いてしまおうと思った

だけれど、動く足を無理に止める必要も感じなくてそのまま勢いに任せて走り続けた

明確には分からないけれど最後の1キロくらいは走りきってやる、という気持ちがあった

正直走りきったとき、すごくすごく満たされた

走ってる瞬間、私だけがこの世界で息をしてるように思った

大声で笑う高校生も、すごいスピードのおじさんも、かったるそうな兄ちゃん達も、そしてたくさん車も

全部映像の中の何かだった

確かにその瞬間、息を吸って息を吐いて

なにがなんだか分からないような喜びで包まれてたのは間違いなく私だった

私だけだった

りいさ

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